自動車メーカーなどの生産工場で働く期間工という職があります。未経験でも働くことができ、比較的高収入ということで近年注目を浴びているようです。
底辺フリーターから脱出するための職業として、プログラマー職と同じように有望に見えますが、はたして期間工はアリなんでしょうか?
そもそも期間工とは?
そもそも期間工とはなんなんでしょうか?wikipediaによると
期間工(きかんこう)とは、自動車工場や電子部品製造工場などで勤務する、期間の定めのある労働契約(有期労働契約にしている企業が多いが無期労働契約にすることも可能になった)を結んで従事する労働者である。
となってます。要は、自動車メーカーのトヨタやホンダなどの工場で、期間限定で働く労働者ということですね。
期間限定の契約なのですが、派遣とは異なり、工場と直接雇用契約を結ぶ形になります。以前は派遣会社経由での雇用が一般的だったのですが、偽装派遣などの問題が社会問題化したため、現在のような直接契約の形に変化しているようです。
短期間でガッツリ稼げる
近年、期間工が注目を浴びている最大の要因は高収入であることです。トヨタやホンダなどの有名メーカーですと月収30万円ぐらいもらえるケースもある。働くメーカーによって差はあるようですが、月26万円以上稼げるところが多いようです。
しかも、契約期間内でしっかり最後まで働き続けると期間満了慰労金というボーナスみたいなものが支給されるところが多いです。これがかなりの高額で半年毎に50万円も支給されるところもある。これは普通のサラリーマンのボーナスと大差ないですね。この他にも入社時の入社祝い金や皆勤手当がもらえるところもあるようです。
また、メーカーの直契約ということで、社会保険の面も充実している。健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険は必ず入ることになります。この辺は正社員となんら変わりはありません。
短期でたくさん稼げて、社会保険も充実している。プログラマーと比べても遜色ない?環境と言えますが、、。
年収は最高で450万円前後でそれ以上は無理
高収入の期間工ですが、トヨタのようなトップ企業になると年収で500万円ぐらい行く場合もあるようです。
- 月収30万円 X 12ヶ月 = 360万円
- 期間満了慰労金50万円 X 年2回 = 100万円
- その他手当など30万円
- 合計で490万円!
こんなにもらえるので、中小企業のサラリーマンをやるよりずっと良いかもしれない。期間工やってみようかな~なんて思ってしまいますね。
しかし、ここで上げた例は世界のトヨタの場合です。一番待遇が良い方ではないかと思います。すべてのメーカーがこんなにもらえる訳ではありません。しかもこれは1年以上真面目に休まず働いた人の最高収入パターンです。初めからこんなにもらえる訳ではないです。
真面目にきっちり工場で働いて、この年収を高いと見るか、安いと見るかですね。ある意味どんなに頑張っても年収は500万円でストップしてしまうとも言えます。これがプログラマーの場合どうなるか?
経験1年ぐらいの派遣プログラマー
- 時給2500円 X 8時間 = 日給2万円
- 日給2万円 X 20日勤務 = 月給40万円
- 月給40万円 X 12ヶ月 = 年480万円
プログラマーの場合、年収480万円になります。なんだ期間工より安いじゃないかと思われるかもしれませんが、これは最低ラインの数字です。ある程度経験があるプログラマーやスキルの高いプログラマーですと時給はもっと上がります。時給4000円で年収768万円になりますが、これぐらいの人はたくさんいます。
また、年収には上限がありません。本人のスキルや営業次第でどんどん上がっていきます。期間工のようにある程度決められた給料で終わることはありません。その点、可能性がいくらでもあり夢のある仕事です。
期間工の仕事はキツイ
高収入の期間工ですが、収入が高いということにはちゃんと理由があります。なぜ高いのか?それは仕事がキツイからです。
高収入な面ばかりに目が行ってしまいますが、期間工の仕事はかなりハードな仕事です。工場の生産ラインで止まること無く流れてくる車に部品などを取り付けていく作業です。ある程度体力がないとまずできない仕事です。また、基本的に単純作業の繰り返しで、これを一日8時間ずっと続けることになります。
期間工を始めても仕事のキツさからすぐに辞めてしまう人が多いのです。すぐにやめてしまうので、期間満了金などのボーナスが設定されているのです。
特にシンドイのが夏場の仕事です。基本的に工場にはクーラーがないところが多いです。炎天下の工場はとんでもなく温度が上昇してしまいます。真夏のクーラーのない体育館でバトミントンをしたことがありますが、蒸し風呂のような環境でとんでもなく暑かったです。真夏の工場もあんな感じだろうと予想できます。そんなところで一日8時間の重労働をしないといけないのです。
一方のプログラマーは基本オフィスの中でデスクワークです。ずっと座りっぱなしのキツさはありますが、工場の重労働よりはマシだと思います。人によっては座っているより、体を動かした方が良いという人もいるかと思います。しかし、趣味でやるスポーツとはレベルの違う体力が求められます。
一生工場の生産ラインの一部で良いのか?
期間工は短期間で稼げるので魅力はあります。特に若い人は普通にサラリーマンをやってもすぐには給料が上がらないので、いきなり高収入が得られる期間工は魅力的です。
しかし、仕事は工場のラインでひたすら単純作業を続けるというものです。決められたことを淡々とこなすだけです。機械の一部となって働き続ける形になります。また、期間工は若いうちはできますが、歳をとったら続けるのは難しいです。重労働のため体力的に持たないからです。
仕事をしながら、自分ははたしてこのままで良いのか?という疑問が湧いてくると思います。一生、生産ラインの一部で良いのか?
一方のプログラマーの場合、仕事は自分の提案次第で変えていくことが可能です。決められたことをひたすら続ける単純作業ではありません。また、提案のできるプログラマーは客先から信頼されますし、どんどんスキルも上がります。待遇もそれにつれて良くなっていきます。可能性は無限に広がると言って良いでしょう。
ただ、プログラマーも楽な仕事ではありません。覚えなくてはいけないことは山のようにあります。簡単に稼げるというほど甘くはありません。しかし、仕事の厳しさはどんな業界でも同じです。楽な仕事などこの世には存在しません。
若い内は短期間で稼げる期間工として働くのは良いかもしれません。しかし、どんどん可能性を広げていくことのできる仕事ではないです。
プログラマーは初めのうちはいきなり高収入を得ることは難しい(人によってはいきなり高収入を得られる)ですが、仕事をしながら可能性をどんどん広げて行けます。何より仕事にやりがいがあります。長い目で見ればプログラマーをやっていくことが、高収入を得る近道と言えます。